そんな疑問にお答えします。
奨学金は学生の時に毎月お金を受け取って学費や生活費として使用し、卒業後から返済がスタートする「借金」です。
ですが、通常の借金とは異なり、利率は無利子もしくは基本的に0.1%以下という非常に低金利で借り受けることができます。
この利率を見て、「奨学金を借りてつみたてNISAを始めれば、借りたお金以上に増やすことができるんじゃ・・・?」と思った学生さんもいるんじゃないかと思います。
先に結論から言ってしまうと、奨学金でつみたてNISAを始めることは合理的な判断だと言えます。
そこで当記事では、奨学金でつみたてNISAを始めるのが合理的と考える理由やメリット、注意点について解説していきます。
注意ポイント
目次
奨学金でつみたてNISAを始めるのが合理的な理由
まず初めに、奨学金でつみたてNISAを始めるのが合理的な理由を解説します。
- 奨学金の金利は無利子、もしくはとても低い
- つみたてNISAは長期投資前提の投資
- 投資は始める時期が早いほど有利
奨学金の金利は無利子、もしくはとても低い
日本学生支援機構の奨学金制度では第一種奨学金(無利子)と第二種奨学金(有利子)の2種類があります。
冒頭でも触れた通り、奨学金は無利子、もしくは非常に低い金利で借り受けることができます。
第二種奨学金で借り受ける場合は「利率固定方式」と「利率見直し方式」のどちらかを選択します。
利率見直し方式:毎月利率か変わる方式
令和3年度4月の利率は、利率固定方式が「0.268%」、利率見直し方式が「0.003%」となっています。
参考:日本学生支援機構「平成19年4月以降に奨学生に採用された方の利率」
平成19年度から現在までの傾向を振り返ると、利率見直し方式の方が常に利率が低くなっています。
しかも、一貫して利率は下がり続けており、直近5 年間では 0.1 %/年以下と、非常に低金利で奨学金を借り受けることができるようになっています。
投資用不動産ローンの金利が1.5%を超えることを考えると、かなり有利に投資を行えることがわかるかと思います。
つみたてNISAは長期投資前提の投資
NISAは株式や投資信託を運用して出た利益が全額非課税になる制度です。
NISAには一般NISAとつみたてNISAの2種類があり、つみたてNISAの非課税期間は20年間となっています。
つみたてNISAの口座で購入した商品を一度売却してもその年の非課税枠が復活することはないため、基本的には長期投資を前提とした制度となっています。
また、つみたてNISAで投資できる金額は年間40万円、月額にすると33,333円までなので、比較的少額の規模の投資になります。
そのため、無茶な短期売買を繰り返して本来の用途である学費や生活費分まで失ってしまうというような事態は起こりにくいと考えられます。
投資は始める時期が早いほど有利
資産運用は次のような理由から、始めるのが早ければ早いほど有利になります。
- 時間を有効に使えるから
- 複利効果は期間が長いほど有利だから
- 感情のコントロール力が身につく
学生時代から資産運用を行うことで、少しでも長く運用期間を取ることができ、社会人になってから始めるよりも有利に資産運用を進めることができます。
奨学金でつみたてNISAを始める場合の注意点
奨学金でつみたてNISAを始めることのメリットはここまで説明してきましたが、冒頭でも触れた通り、奨学金はあくまで借金です。
そのため、学生生活や返済スタート後に生活が崩壊しないように注意する必要があります。
- 投資は余剰資金で行うこと
- 元本割れのリスクがあることを理解する
- 「投機」ではなく「投資」をすること
投資は余剰資金で行うこと
奨学金の本来の利用用途は学費や生活費などです。
その分のお金まで投資に回してしまうと、うまく運用できれば問題はありませんが、万が一運用がうまくいかなかった場合に生活に支障が出てしまう可能性があります。
投資は学費や生活に必要な費用を除いた余剰資金で行うようにしましょう。
また、無駄な支出を減らす努力をして余剰資金を捻出することで、投資に回す金額を増やすことができるのはもちろん、少ない支出で生活をする術が身につくので、将来社会人になった時の資産形成のスピードを大きく向上させることができます。
支出を下げるメリットや方法についてはこちらを参考にしてください。
元本割れのリスクがあることを理解する
つみたてNISAはあくまで投資を行う際に税制上有利になるための制度で、必ず儲かるというものではありません。
世界情勢や選択した商品によっては、購入したときの金額を下回ってしまう元本割れのリスクがあります。
さすがに資産がゼロになってしまうことはありませんが、最悪の場合3分の1にまで減ってしまうことも考えられます。
つみたてNISAは長期保有前提の制度なので基本的には非課税期間終了後まで保有し続けることになるかと思いますが、万が一お金が必要になった時に元本割れしていて結果的に苦しくなってしまうという事態も起こりえるということを理解しておきましょう。
まとめ
奨学金は無利子、もしくはとても低い金利で借り受けることができるため、余剰資金を使ってつみたてNISAを行うのは合理的な判断だと考えます。
ただし、あくまで奨学金の目的は、学生が学費や生活費が原因で学業に専念できないということがないようにするための支援制度なので、投資を始める場合は健全な生活に支障が出ない範囲で行うようにしましょう。
つみたてNISAは投資信託を長期期間保有するインデックス投資法と相性が良いので、是非こちらの記事も参考にしてみてください。