【資産が減らない?】4パーセントルールとは?日本でも通用する?
4パーセントルールで取り崩していけば資産は減らないって聞いたけど本当なの?そもそも日本でも通用するのか知りたい。

そんな疑問にお答えします。

 

FIREを達成するために必要な資産額の目安として4パーセントルールというものが注目されています。

言葉自体は良く聞くけど、実際のところ、何を根拠にその目安が決められているかご存じでしょうか?

また、アメリカで発表された研究結果に基づいているので、

ぱんだくん
ルールはなんとなく知ってるけど、日本でも通用するの?

というような疑問や不安もあるかと思います。

そこで当記事では、4パーセントルールの根拠や日本でも通用するのかについて解説していきます。

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4パーセントルールとは

4パーセントルールは、年間支出の25倍の資産を築けば、年利4%の運用益で生活費をまかなえるという考え方です。

退職プランと経済理論を研究したトリニティ大学における論文「トリニティスタディ(Trinity Study)」が基になっています。

トリニティスタディとは
「リタイア後の資産運用の出口戦略として、どのような割合・金額を取り崩しながら資産を運用すると資産の寿命を最も長らえさせることができるのか?」というテーマについてアメリカのトリニティ大学の3人の教授が研究・発表したもの。

記録が残っている株式・債券市場の価格データを用いて、一定額の資産を持っている退職者が、毎年一定割合の金額を引き出しつつ投資を行った場合に資産額がどうなるのかをシミュレーションした結果が根拠になっています。

このシミュレーションでは、毎年4パーセントの定額で取り崩しを行えば、貯蓄が30年以上持続する可能性が95パーセントという結果が出ています。

また、複数のシナリオでシミュレーションした検討したところ、資産が枯渇するどころか中央値ベースで当初資産の8倍にまで成長しています。

なしば
資産を取り崩しているのに、減るどころかむしろ増えているんですね。

シミュレーションには暴落期間も含まれている

トリニティスタディの研究でシミュレーションした期間は1926年~1995年の70年間です。

その中には、ウォール街大暴落やブラックマンデー大暴落などの暴落期間が含まれています。

シミュレーションでは暴落期間も含めて4パーセントずつ定額で取り崩しているわけですが、そのうえで上記のような結果になっています。

4パーセントルールでの計算例

例えば、年間の支出が300万円であれば、FIREに必要な金融資産は、

300万円×25=7,500万円

となり、7,500万円を年利4パーセントで運用することで、資産を維持しつつ生活することができるということになります。

日本でも通用するのか?

ぱんだくん
でも4パーセントルールってアメリカの話だよね?日本でも同じやり方が通用するの?

 

4パーセントルールについてわかったところで、アメリカとは状況が異なる日本でも通用するのか気になりますよね。

結論から言ってしまうと、日本でも4パーセントルールの考え方は適用することができます。

ただし、日本とアメリカでは様々な条件が異なることに注意が必要です。

ここでは日本で4パーセントルールを活用する場合の注意点を解説したいと思います。

注意点① インフレ率

4パーセントルールにおける4パーセントという数字は、米S&P株の成長率7%から、アメリカのインフレ率3%を差し引いて算出されています。

インフレ率とは
インフレとは「インフレーション」を略した言葉で、モノやサービスの物価が持続的に上昇する経済現象のことを指します。
インフレ率は物価の上昇度合いを表す指標で、前後1年間の消費者物価指数(CPI)を用いて算出されます。

なしば
株価は上がっているけど、物の値段も上がっているからその分を差し引いているということですね。

 

また、日本ではインフレ率の目標は2%としていますが、実態は1%にも満たない状況が続いています。

そのため、計算上はより少ない資産でFIREが可能ということになります。

注意点② 為替リスク

日本から米国株式に投資する場合、為替リスクが生じます。

為替リスクとは
他国の通貨と自国の通貨の価値が違うことによって生じる損失を被るリスクのこと。

なしば
同じS&Pに投資をする場合でも、ドルをドルのままで購入できるアメリカ人と、日本円をドルに変換してから購入する必要がある日本人の違いですね。

トリニティスタディはアメリカでの研究結果なので、当然ながらこの為替リスクも考慮されていないため、アメリカ人が投資する場合に比べてリスクが増える点に注意が必要です。

 

ただし、日本人の場合は老後に公的年金を日本円で受け取ることが出来ますが、「卵は一つのカゴに盛るな」という格言の通り、資産を日本円のみで持つことはリスクになり得ます。

そのため、公的年金の日本円インデックスファンドの取り崩しで得られる米ドルという、2種類の通貨で収入を得られるというメリットにもなります。

注意点③ 売却益への税金が考慮されていない

日本では、株式や投資信託を売却したときの利益に対して、20.315%の税金が発生します。

トリニティスタディの研修結果には、この税金が考慮されていません。

そのため、資産を取り崩す際は、手元に残る金額は減ってしまうことに注意が必要しましょう。

幸い日本には、NISAiDeCoなどの非課税で資産を運用できる制度が整っているため、これらの制度を最大限活用して、少しでも手取り金額が多く残るように工夫しましょう。

4パーセントルールで失敗しないために

4パーセントルールの説明では、95%の確率で資産が減らないという話をしました。

ということは、残りの5%の人は資産が枯渇してしまうという事になります。

そんな不運な人にならないためにも、4パーセントルールで失敗しないための方法を知っておきましょう。

4パーセントルールで失敗しないための3つの方法
  • 生活防衛資金を多めに用意する
  • 暴落相場では生活費を働いて稼ぐ
  • 暴落相場では取り崩し率を下げる

生活防衛資金を多めに用意する

4パーセントルールが失敗する最大の要因は、リタイア直後に暴落相場が来てしまうことです。

インデックス投資で最もやってはいけないことが、暴落相場で資産を売ってしまうことです。

暴落時の価格が下がっているときに資産を売ってしまうと、暴落からの回復局面で資産を取り返すことができなくなるからです。

暴落が始まった直後のまだ下がりきっていない時に売って、回復し始めた直後に買い戻せば良いと思われるかもしれません。
ですが、それは自分が相場が読めると言っていることと同じです。

そこで、暴落相場で資産を売らなくても良いように、生活防衛資金を用意しておくというわけです。

過去の暴落の歴史を振り返ると、1980年以降の弱気相場(下落率20%以上)は最長でも30ヶ月しか続いておらず、概ね5年あれば回復する傾向にあります。

そのため、3~5年を乗り切れるだけの生活防衛資金を現金で用意しておくことで、暴落相場でも資産を取り崩すことなく乗り切れるというわけです。

暴落相場では生活費を働いて稼ぐ

とはいえ、3~5年分の生活費というのは年間の生活費が300万円の人であれば、900~1500万円を用意しなければならなくなります。

これだけの資産を用意しようと思ったら、ただでさえ遠い道のりのFIREがさらに遠ざかってしまいますよね・・・。

そこでもう一つの解決方法が、生活防衛資金だけでは不足する現金を暴落相場では生活費を働いて稼ぐことです。

暴落が起きる時は不景気で労働環境は厳しい状況になっていることが予想されますが、生活防衛資金で足りない分を補うだけの稼ぎを得るくらいはなんとでもなります。

ただし、その状況で一時的に再就職するというのは難しいので、生活防衛資金を十分に用意できていないうちは、サイドFIREとして自分の事業に取り組みましょう。

いきなり自分の事業で収入を得るのは難しいので、FIREする前から副業として自分の事業を育てておくことをおすすめします。

暴落相場では取り崩し率を下げる

最後の方法は、暴落相場では取り崩し率を下げることです。

具体的には、暴落相場中は取り崩し率を4パーセントから3パーセントに下げましょう。

たった1パーセントと思うかもしれませんが、年利1パーセントの差は数十年単位で考えると複利の効果で大きな差が生まれます。

また、「3パーセントルールでは、30年後に資産が枯渇しない可能性は100%」という結果が過去のデータの研究で分かっています。

あくまで過去のデータなので、今後も100%大丈夫というわけではありませんが、成功率はグッと上がります。

もちろん取り崩し率を下げている間は生活レベルも下がることになりますが、暴落相場から回復するまでの辛抱と割り切りましょう。

まとめ

4パーセントルールは、あくまで過去のデータを基に算出された理論上の数値です。

ルール通りに資産運用を行ったからといって、必ず資産を減らさずに生活し続けられる保証があるわけではありません。

今後も今までと同じように米国や世界経済が成長し続けるかはわかりませんし、自分の人生で予想外の出費があった場合はプランが崩壊してしまう可能性もあります。

FIREの計画は保守的すぎるくらいに考えておくのがちょうど良いでしょう。

また、完全に働くのを辞めるのではなく、サイドFIREとして、好きな仕事でお金を稼ぐなど、資産運用とは別の収入源を確保しておくことも有効です。

 

いずれにせよ、4パーセントルールは資産構築の際の参考程度に留めて置き、何が起こっても臨機応変に対応できるように準備をしておきましょう。

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